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書物とコンピュータを繋ぐもの…それが「経葉」です。

書物といわれるものは、必ずしも読み手がその内容だけを情報として取り込んでいるわけではありません。装丁や装本、手ざわりなども本を読む喜びの大きな要素です。また情報そのものというよりも、「ノイズ(装丁や装本など)」を含めた全体を総合してわれわれは書物ととらえているのです。単なるノイズとみられているものが、実は重要な要素である可能性があり、本の作り手(発行者・著者)は長い年月をかけて、紙の上でどのように思いを伝えていったらいいかを試行錯誤し、その結果として現在までの書物が存在してきました。

印刷された活字でなければ伝達できない人間の感性、ただ単に情報の伝達手段としてだけではない書物、これらをコンピュータ上で実現しようとしているのが「経葉」です。情報は「読む」だけではなく「見る」、見ることで読み取られるべきものもあるはず…。現在巷で取り沙汰されている電子出版物は、電子出版と言うことができるほど完成されているでしょうか。もちろん検索性と速度を重視する辞書などは非常に素晴らしいものがありますが、紙の上で可能だった情報の一覧性や重要なノイズを置き去りにしてきてはいないでしょうか。「経葉」が現在の電子出版の在り方に一石を投じられたら幸いです。

経葉の意味

「経」は縦糸を表します。中国では四書五経、また仏教ではお経・経典と言うように、経書は連綿と時代を超えて受け継がれるものを表します。経に対比される言葉として緯があり、緯書はその時代のみにしか存続し得なかった書物を言います。「葉」は一枚の意味を表し薄いものを数えるときの数量詞で日本ではどんなものでも枚と数えてしまいますが、紙も葉とするのが正しいと思われます。「葉」である書物の頁やある部分を「経」すなわち縦糸で繋げていくことができるパソコンソフトウェアが「経葉」です。時代を超えて受け継がれるものを製作していく、その意義を名に表す為に「経葉」と名付けました。